『楽奏』

2025年6月27日 03:07 | 音楽のこと

音楽を語るとき、よく「メロディ」と「伴奏」という言葉が使われます。
旋律と、それを支える音。主役と、それを引き立てる脇役。

でも、最近、ふとこう思うのです。


本当に、音楽はそんな風に分けられるものなのだろうか?


たしかに、メロディは耳に残りやすく、物語を語るような存在かもしれません。
けれど、そこに寄り添う和音やリズム、響きたちは、
決してただの「お供」ではない。
むしろ、その空間に生きる音たちは、互いに響き合い、支え合い、共に在る。


それはまるで、蓮の葉と水面のような関係。
どちらが主で、どちらが従ではなく、どちらもあってこそ成り立つ静けさと美しさ。

そんな想いから、私は「伴奏」という言葉に違和感を覚えるようになりました。

そこで、自分なりに、ひとつの言葉を生み出してみました。



それが『楽奏(がくそう)』です。



「楽奏」とは、すべての音が共に奏で合うこと。

メロディも、コードも、リズムも、空白も、すべてはひとつの楽の中に生きる。 どの音にも意味があり、物語がある。
その音たちが手を取り合いながら、空間を生み出し、聴く人の心に語りかける。


そう考えると、演奏すること、聴くことが、もっと自由になれる気がします。


音楽は、誰かと共に生きるもの。
それは演奏者同士のことでもあり、演奏と聴く人との関係でもある。


私の中で、「楽奏」という言葉は、
音楽の在り方を見つめ直す、小さなきっかけになっています。


もしこの言葉が、誰かの心にも響くなら、
それはきっと、また新しい音楽の風景が広がることだと思っています。

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