月光から瞬景へ

2025年4月23日 02:24 | 音楽のこと

月光から瞬景へ

悲しみを越えて、いまを生きるあなたへ

現在、私の新譜となる「瞬景」の制作が進んでおります。
近いうちにリリース日の発表を行える段階に入ってきました。

2023年にリリースしたアルバム『月光』。
実験的に、特性の強い方にも聴きやすい音をという試みはあったものの、
あの作品で私が伝えたかったのは、「夜を共に寄り添うこと」でした。

どうしようもない悲しみ。
静かに涙を流すしかない夜。
そんなとき、そっと寄り添える音楽を作りたかった。
それが、私にとっての『月光』でした。

冒頭の「舞魚」は失った私の娘を美しい魚に例えて、舞い泳ぐ様を。
終曲の「月光」は私自身を月に例え、舞い泳ぐ魚を優しく照らす月光を。
なので、月光には中間部分に舞魚が調を変えながら現れます。

あのアルバムには、深い孤独と、でもどこかやさしさが込められています。
誰かの痛みが、少しでもやわらぐように――そう願って、一音一音を紡ぎました。



そして、次作『瞬景』では、もう一歩先へ進みたかった。

悲しみを癒すだけじゃなくて、
その悲しみの中から、もう一度歩き出す力を描きたかった。

誰もが抱える喪失、後悔、愛おしさ。
でも、そんな感情もまた、生きている証なんだと感じています。
そして、生きているからこそ、風景は変わっていく。

心の奥に浮かんでは消える、"あのときの景色"。
大切だった誰かとの記憶。
名前のない感情たち。

そうした一瞬一瞬の心の風景=「瞬景」を、ピアノに託して届けたい。
それが、次作を作る理由です。



アルバムの最後には希望へと羽ばたこうとする秘めた強さと、心の中でそれが叶う喜びを配置しました。

何度でも生まれ変わる魂の強さを。
失ったものとの静かな再会を。


この「瞬景」は、私自身が辿り着いた"答え"のような存在です。
苦しみを知った人だからこそ持てる、哀しみと優しさと強さ。
それを、音楽で分かち合いたい。



『月光』が夜の音楽なら、
『瞬景』は、その夜を越えた先に広がる世界の音楽かもしれません。

でも、どちらも大切です。
どちらも、私自身です。

音楽を通して、あなたの心と、あなたの風景と、出会えますように。
発表を是非、お楽しみに!

DAKOKU

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