SYMPHONY 「VISIONS」
第一楽章 「遠想」
ピアノ版
オーケストラ版
第二楽章 「雲響」
ピアノ版
オーケストラ版
終楽章 「月光」
ピアノ版
オーケストラ版
― 音は、記憶を超えていく ―
私は自身のオリジナルピアノアルバム「月光」の中から3曲を選出し、「VISIONS」というひとつの「まとまり」を構想しました。
これは単なるオーケストラ楽曲ではありません。
そして単なるDTM作品でもありません。
これは、私の内側に長年存在し続けていた「光景(ヴィジョン)」を音にしたものです。
■ なぜ「VISIONS」なのか
人は過去を思い出すとき、言葉よりも先に"光景"を思い出します。
ある朝の光
病室の空気
手のぬくもり
沈黙の中の気配
それらはすべて、言葉ではなく、映像のような記憶として存在しています。
私は長年、その「光景」を音で描けないかと考えてきました。
VISIONSとは、私の人生の中に焼き付いているいくつもの瞬間、そして未来に見えている景色までを含めた"心の映像群"です。
■ これはDTMオケではない
今回のVISIONSは、いわゆる「打ち込みオーケストラ作品」ではありません。
そして同時に、私ひとりで完結した作品でもありません。
本作のオーケストレーションは、作曲家 山下久幸氏が担当してくださいました。
私が作曲した原曲と、音楽的ヴィジョン、旋律、構造をもとに、それを実在のオーケストラで演奏されることを前提とした形へと再構築してくださいました。
実楽器の音域と特性、奏者の呼吸と身体性、弓順や管楽器のブレス、ホールでの響きの広がり、ダイナミクスの物理的限界と可能性等、
これらをすべて踏まえた、「実演前提のオーケストレーション」 が施されています。
DTM上で"それらしく鳴る"ことを目的とした編曲ではありません。
生身の奏者が音を鳴らすことを想定した設計です。
VISIONSは、作曲としての私の音楽とそのヴィジョンと、さらにはそれを現実の音へと架橋する山下氏の技術と感性が重なって生まれた作品です。
よって、オーケストレーションは、楽譜作成用ソフト「finale」で行われており、それを再生させた音源となっています。
■ 私の原点とオーケストラ
私は今でこそ、ピアニスト、作曲家、マルチクリエイターとして活動していますが、
原点には「ゲーム音楽」への憧れがありました。
壮大な世界観
物語を包み込む音
キャラクターの感情を背負う旋律
音は、物語そのものになれる。
その確信が、今の私の「Sound Tale」という思想にもつながっています。
音が物語を語る。
VISIONSは、まさにSound Taleのオーケストラ版とも言える存在です。
■ 娘の記憶
私は、忘れられない光景があります。
それは、大きな大きな手術から目覚めた言葉を話せない私の娘が、
私を見つけて一瞬とても幸せそうに笑い、そして次の瞬間、大粒の涙を流したあの表情。
嬉しさと痛みと安堵と不安、恐怖が同時に存在する顔。
あの一瞬の光景は、今も私の中で消えることはありません。
VISIONSの中には、直接的な描写はなくとも、その「感情の振幅」が確実に流れています。
歓喜の中にある痛み。
静寂の中にある叫び。
祈りのような旋律。
私はあの光景を、音で救い続けているのかもしれません。
■ 黒の中の白
VISIONSのビジュアルは、黒背景に白文字。
それは偶然ではありません。
黒は無限であり、宇宙であり、そして喪失でもあるかもしれません。
白は、希望であり、再生であり、魂の光。
暗闇の中にこそ、最も強い光は輝く。
その思想が、そのままビジュアルにも反映されています。
■ 三つの層
VISIONSには、三つの層があります。
静寂、葛藤、超越。
最初はほとんど呼吸のように始まります。やがて感情が揺れ、そして最後には、視界が開ける。
それは受容です。
人生は必ずしも解決しない。しかし、超えることはできる。
VISIONSは、解決ではなく、超越の物語です。
■ 最後に
もしあなたが今、言葉にできない感情を抱えているなら。
もし、過去の光景が消えずに残っているなら。
もし、未来にかすかな光を見ているなら。
VISIONSは、きっとあなたの中の何かと共鳴します。
音は、時を越える。
音は、次元を越える。
音は、記憶を越える。
そして音は、光になる。
DAKOKU
Sound Tale Architect